へきがんろく
頌・不平を平らげんことを要す。(細なることひー虫に比ーふー虫に孚ーの若し。大丈夫の漢須らく是れ恁麼なるべし。)大巧は拙の若し。(声色を動ぜず。身を蔵し影を露す。)或は指或は掌。(看よ。果然として這箇不是。)天に寄って雪を照す。(斬。覩著すれば即ち瞎す。)大治も兮磨ろうー龍の下に石ーし下ず。(更にかー假のにんべんでなく火ー練を用ひて什麼か作ん。干渉能く求ること莫し。)良工も兮払拭して未だ缺まず。(人能く行ずること莫し。直鐃干将出で来るとも也倒退三千。)別別。(咄。什麼の別処か有らん。讃嘆するに分有り。)珊瑚枝枝月をとう著す。(三更月落ちて影寒潭を照す。且らく道へ、什麼の処に向ってか去る。直に得たり天下太平なることを。酔後郎当として人を愁殺す。)
不平という、強の弱を凌ぐを見て、剣を飛ばして強の首を刎ねるの故事、平らかでないのを平らげる、不平不満わずかにあれば、拘泥して円かには行かぬ、たとい不平あり云いたいことありとも、円相、云いたいこと云い、怒りありとも、見るには見えず。ものみなおのれの腹の中ってこったですか、あっはっは。(ひふは大なる蟻ですってさ、大丈夫男一匹すべからく是れ恁麼。空じ切って身心脱落、でなきゃあただの不平不満。収まり切れないってことは、細には無間に入り、大には方処を絶す、おのれが本来を知らぬ。)大巧は拙のごとし。老子にあり、大道は屈の如く、大巧は拙の如く、大弁は訥の如しと、はーいまったくその通りです。(立て板に水しない、能弁は信用ならぬ、身を蔵し影をあらわすふう、てめえこうあるっていう、大切はこれ、どう喋ろうが、なんにも云わずがことは同じ。)或いは指し或いは掌する、(見よ、果然として這箇不是、さっぱりわからんとさ、あっはっは。)天によって雪を照らす。(莫耶の剣天にあって雪を照らすと、雪を見るに雪を知らず、月を仰ぐに月を見ず、もし吹毛の剣にあらざれば、鈍して貧す、生きたって生きた覚えもあらず、生まれ変わり死に変わりする、徒労の百生。)大治もまた磨ろうしえず。(大治の剣まろうせず。ないものは壊れず、傷つかず、無心これ。ただ如来のみあり、現ずれば衆生所遊楽、諸天撃天鼓、滅すれば、令其生渇仰、因其心恋慕。)良工も兮払拭してまたやまず、(どのような巧が作ったとて、切磋琢磨なんです、ついに未だ届かず、(人能く行ずるなし、修行とはただこれ、おのれのはかりごとを一切止めて、投げ与え捨て、不安ならそのどん底へ、得意ならぶち抜け。干将莫耶の剣の使い手ですか、使い手いらんのです。)別別。(ただこれ別々、賛嘆するに分あり、雪は雪月は月。)珊瑚枝枝月をとう著す。まずもってこれを得て下さい、坐る実感ですよ、実にこのようにある、無覚の覚、自閉症じゃ月も照らさないんです、了解。(月落ちて影寒潭を照す、そりゃまったくそうです、ただこうあるっきり、なにをどうせなけりゃならんてことないんです、しっかも日々新たにです、朝に坐し夕に坐す。天下太平っていう、まさに南閻浮地獄の如く、修羅の如く、しかも天下太平、酔っ払って管を巻くんですか、はいこれ説法。)
万こくー角に斗ー舟に盈てて手に任せて牽く。卻って一粒に因って甕蛇を呑む。百転の旧公案を拈提して、時の人の幾眼沙を撒卻す。


最近のコメント