問答

2008年6月14日 (土)

問答

法戦問答

   一

問、仏と云うはこれ何ぞ。
答、嘘いつわりなければものみな仏。
問、嘘いつわりなければ威儀即仏法ならん。
答、我を省みるなければよし。
問、省みる我なし。
答、雪月花もとより仏。
問、珍重。
答、万歳。


   二、

問、借問(しゃもん)す三界子、何物か尤も  幽奇なる。
答、端坐して諦(つま)びらかに思惟せば、  思惟便宜を得ん。
問、粉々として随照を羅(つら)ね、意を守っ  て時を失う。
答、久々若し淳熟せば、始めて相欺かざるを  知らん。
問、昨日は今日に異なり、今辰は来辰に非ず。
答、誰れか能く枯株を守り、直ちに霜鬢と為  るを待たん。
問、珍重。
答、万歳。


   三、

問、大道本来程途無し、知らず何の処にか心  安を問はん。
答、空有暫く標的と為す。
問、凡聖豈に是れ定端有らんや。
答、事を執らんとして影を逐へば影弥いよ遠  く、妄を払はんとして真を求めば真瘢と  なる。
問、箇の事直に須らく妙会せんか。
答、わずかに意根に随へば大千を隔つ。
問、珍重。
答、万歳。


   四、

問、三界無法何の処にか心を求めん。
答、白雲を蓋と為し、流泉を琴と作す。
問、一曲両曲人の会する無し。
答、雨過ぎて夜塘秋水深し。
問、迅雷耳を掩ふに及ばず、直に得たり堕泥  帯水。
答、什麼の処にか在る。
問、珍重。
答、万歳。


   五、

問、活中に眼あり還って死に同じ。
答、両つながら相知らず。
問、若し験過せずんば、争でか端的を得ん。
答、薬忌何ぞ須ひん作家を鑑みることを。
問、偶著して試みに一鑑を与えよ、又且つ何  ぞ妨げん。
答、古仏尚ほ言ふ曾て未だ至らずと。
問、絶後に再び甦らずは、君を欺くことを得  ず。
答、知らず誰か塵沙を撒することを解す。
問、珍重。
答、万歳。


   六、

問、仏道を習うというは自己を習うなりとあ  ります、自己の他にはなんにもいらない  のですか。
答、自己の他にはなんにもいらないと知る、  全世界全宇宙これ自己と知って、はじめ  て参禅です、単純に参ずるんです、正解  は単純にのみあります。
問、自己を習うというは、自己を忘れるなり  とあります、なぜですか。
答、自分を知るとはもう一つの自分を観察す  ることではありません、心はたった一つ  です、たった一つがたった一つを知る、  忘れる他にないんです。
問、忘れたらなんにもならないですが。
答、自己を失ってぜんたいがあります、我と  有情と同時成道すと獅子吼して仏教が始  まります、御開山さまもあなたもまたお  釈迦さまと同じです。
問、それが宗教なんですか。
答、たった一つの宗教です。
問、珍重。
答、万歳。


   七、

問、知らぬが仏という、ほどけば仏という、  二つとも俗説ですか、あるいは真実を告  げているんですか。
答、花にあなたはだあれと聞く、知らないと  答えます、だから花は見れども見飽きな  いんでしょう、梁の武帝という人が達磨  さんに、朕に対する者は誰そと聞いた、  達磨さんは不識、知らないと答えた、こ  れまったく同じです。
問、知らなければひっくりかえってしまいま  すが。
答、なまじっか知っているからですよ。
問、知るとはどういうことですか。
答、ぜんたいの中にもとこうあるのをピック  アップして、観念知識として持つ、本当  は知らないということなんです、淋しい  かぎりです、知ってる分がみな嘘ですか、  だから醜悪です。
問、たしかに人は醜悪ですか、自然に帰りた  いと願うものこれ。
答、たとい観念知識をもって自縄自縛する、  その縄のはしっこを自分だと思い込む、  尾ひれがついて右往左往です、自然破壊  の元凶これ、自縄自縛の縄をほどけば仏。
問、ほどき終わればもと仏。
答、もとあるものに行きあうだけです、これ  を仏教という、つまり地球のお仲間入り  ですか。
問、珍重。
答、万歳。


   八、

問、耳を洗ふ其れ如何。
答、見知を存する有る莫れ。
問、知見わずかに存する有れば、道と相離支  す。
答、我れに似れば非もまた是と為し、我に異  なれば是もまた非と為す。
問、是非始めより己に在り。
答、道其れ是の如く非ず。
問、珍重。
答、珍重の儀はさておく、水を以て石頭を没  す、祇だ覚る一場の癡たることを。
問、珍重。
答、万歳。

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