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2007年5月

2007年5月31日 (木)

へきがんろく

第二十四則 鉄磨い(さんずいに為)山に到る

本則・挙す、劉鉄磨い山に到る。(妨げず湊泊し難きことを。這の老婆本分を知らず。)山云く、老じー牛に字、めすうしのことー牛、来也。(点。深竿影草。什麼の処に向かってか敖耳訛を見る。)磨云く、来日台山に大会斎あり、和尚卻って去る麼。(箭虚りに発せず。大唐に鼓を打てば新羅に舞ふ。放去は太だ速やかに、収来は太だ遅し。)い山身を放って臥す。(中れり。汝什麼の処に向かってかい山を見ん。誰か知る遠き煙浪に、別に好思量有ることを。)磨便ち出で去る。(過也。機を見て作す。)

劉鉄磨はい山門下の尼、久参にして、機鋒峭俊なり、人号して劉鉄磨となす、劉は姓、い山を去ること十里にして庵を卓つ。一日去ってい山を訪ふ、山来るを見て便ち云く、老じ牛、汝来也。磨云く、来日台山に大会斎あり、和尚還って去るやと。い山身を放って便ち臥す。磨便ち出で去る。また一に説話の如くに相似たり、且つ是れ禅にあらず、また道にあらず。喚んで無事の会となし得てんや。い山台山を去ること自ずから数千里を隔つ、鉄磨什麼によってか卻ってい山をして去って斎せしめん。評唱にこうあります、五台山は山西省にあって、弥勒下生の伝説かなんぞで有名なんですか、大会斎大盤振舞いのお斎です。さあどうだ、行くかって云う、山身を放って臥す、磨出で去る、あっはっはどうですかこれ。(湊泊し難きとは取り付く島もないんです、取り付く島もないとは、仏教ではなくあなた自身のこってす、取り付ける分がみな嘘です。この老婆本分を知らず、師匠弟子の常識的本分ですか、仏教という本分ですか。知らぬとはなぜ。)老じ牛、牝牛来たな。(点、はたしてって云うんです、深竿影草、さぐりを入れる、どこまでできているかという、そんなこたないです、ただですよ。どう挨拶したって打てば響く、みだりには云わないんです、敖耳は一字なんです、ごうがでもって、一般には使わないなまりですか、禅ありやというんですか、平地に乱を起こす。でなきゃわからんってこと。)五台山のおときに行くかい、行くと云えば三十棒、行かぬと云えば三十棒、今日は、お久しぶり、どうしてますかの挨拶と、さあどうです、三十三天に至って盆をくつがえすほどの、日々是好日わかりますか、世間せんずり寝んねとは別、(箭みだりに発せず、でたらめ云ってるんじゃない、唐で太鼓を打てば新羅に舞う、これ日常、ぼかっとやるのは一瞬、初心またはなはだ遅し。)い山身を投げ出す。うはってなもんです、ちゃんと中っているんですよ、劉鉄磨を度す、(汝いずれの処に向かってかい山を見る、たといさわらぬ神に祟りなしたって、響いているんです。)磨便ち出で去る。(はいよってなんもんです。あっはっは。)

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2007年5月29日 (火)

へきがんろく

第二十三則 保福長慶遊山

本則・挙す、保福、長慶遊山する次で、(這の両箇落草の漢。)福、手を以て指して云く、只這裏便ち是れ妙峰頂。(平地上に骨堆を起こす。切に忌む道著することを。地を掘って深く埋めん。)慶云く、是は即ち是、可惜許。(若し是れ鉄眼銅晴にあらずんば幾んど惑了せられん。同病相憐れむ。両箇一坑に埋卻せん。)雪竇著語して云く、今日這の漢と共に遊山して、箇の什麼をか図る。(妨げず人の斤両を減ずることを。猶ほ些子に較れり。傍人剣を按ず。)復た云く、百千年後無しとは道はず。只是れ少なり。(少売弄。也是れ雲居の羅漢。)後に鏡清に挙似す。(好有り悪有り。)清云く、若し是れ孫公にあらずんば、便ち髑髏野に遍きことを見ん。(同道の者方に知る。大地茫茫として人を愁殺す。奴は婢を見て慇懃。たとひ臨済、徳山出で来るとも、也須らく棒を喫すべし。)

保福、長慶、鏡清みな雪峰の嗣、保福と長慶遊山するついで、そこらへん山歩きです、(ぶらり歩きやがって、坐っていろてなもんです、落草の漢、隙ありひまつぶしですか。)保福手をもって指して云く、這裏便ち妙峰頂、これみんな妙峰頂、華厳経入法界品に出ずと、そうねえ雪舟の山水画を見るにいです、天橋立図という、一般の人デフォルメもいいところだというんですが、実にあんなふうに見えるんです、眼なく見る、身心なく行き立ってあるんですか、わずかに身心なければ、うーんなんて云ったらいいんだろ、妙峰頂という、舌足らずしかないんですか、空前絶後の事、仏仏を現ずるんですか、(平地上に骨堆を起こす、だからこれ平らにこうあって他なしを、世間一般見ようにも見えない、思いのほかの事実です、大満足ですか、あっはっは満足不満足のらち外です。道著すりゃそりゃ損なう、異物は地を掘って埋めるうっふ。)長慶云く、是は即ち是、いいことはいい、惜しいかなっていう、云うだけ野暮なんです、詩歌絵画の才能ありゃ、もっとじかに表わすこと可能って、これやっぱり人々自ずからです、自分で見て下さいって他ないんです。(そうさ、ちゃーんとやり切っていないと、特別の境地だ、禅の悟りだなどまあろくなことにはならん、せっかく同病相憐れんで、一つ穴に埋卻せん、云うことないんです。)雪竇著語、わしもさ三人遊山して、何をか図る、ただこうあって世間宇宙全般、図るにいたっては一瞬千斤、絶えざるこれもって、平地に乱もくそもないんです、汝これ彼にあらず、彼まさにこれ汝。(だれあって剣を按ず。)百千年後無しとは云わず、ただこれまれなり、雪舟の他に雪舟なし、良寛の他に良寛なし、ほんのわずかの人がこれを知る、雪竇のころであっても同じ、禅風大いに盛んな時代でも、これを知る者一人半分、今もまあさあっはっは。鏡清云く、若しこれ孫公ー長慶にあらずんば髑髏野にあまねし、そうなんです、境地にしてしまうんです、おれは得た免許皆伝という、どくろ野に満てりです、あるいは境地如何と、だれかれ聞く、そんじゃなんにもならないんです。(同道の者まさに知るしか方法はないんです、大地茫茫として人を愁殺すという、世界人類いえおのれの周辺だけです、一言に死んだほうがよっぽどましですか、そりゃものみなそんなふうです、でもそれたといちらともありゃあ、奴は婢を見て慇懃、くだらんことせにゃいかんです、あっはっは臨済も徳山も痛棒。)

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2007年5月25日 (金)

へきがんろく

頌・象骨巌高うして人到らず。(千箇万箇模索不著。公が境界に非ず。)到る者は須らく是れ蛇を弄するの手なるべし。(是れ精、精を識り、是れ賊、賊を識 る。群を成し隊を作して什麼か作ん。也須らく是れ同火にして始めて得べし。)稜師備師奈何ともせず。(一状に領過す。一著を放過す。)喪身失命多少か有 る。(罪重ねて科せず。平人を帯累す。)韶陽知って、(猶ほ些子に較れり。這の老漢只一隻眼を具す。老漢技倆を作すことを免れず。)重ねて草を撥ふ。(落 草の漢什麼の用処か有らん。果然。什麼の処にか在る。便ち打つ。)南北東西討ぬるに処無し。(有り麼有り麼。闍黎眼瞎す。)忽然として突出す柱杖頭。(看 よ。高く眼を著けよ。便ち打つ。)雪峰に抛対して大いに口を張る。(自作自受。千箇万箇を呑卻するも什麼の事をか済さん。天下の人模索不著。)大いに口を 張る兮閃電に同じ。(両重の公案。果然。頼ひに末後の句有り。)眉毛を剔起すれば還って見えず。(蹉過了也。五湖四海恁麼の人を覓むるに也得難し。如今什 麼の処にか在る。)如今蔵して乳峰の前に在り。(什麼の処に向かってか去る。大小の雪竇も也這の去就を作す。山僧今日也一句に遭ふ。)来る者は一一方便を 看よ。(瞎。脚跟下に向かって看ること莫れ。上座が脚跟下を看取せよ。一箭を著け了れり。)師高声に喝して云く、脚下を看よ。(賊過ぎて後弓を張る。第二 頭第三頭。重言吃に当らず。)

象骨巌は雪峰山に在り、雪峰機鋒高俊にして、人の到ること稀なりと、(千人万人模索不著さっぱりわからな い、とうてい公、一般の境界ではない、あっはっは役立たず。)到る者はすべからく是れ蛇を弄する手なるべし、猛毒の蛇を弄ぶの手段、がぶっとやられて頓 死。(精、精を知り、賊、賊を知る、つうかあです、一般論やこうあるべきなど、群をなし隊をなす、なんにもならんです、同火にして始めて得べし。教育とは これ他になし、無駄飯作ったって無駄骨。)稜は長慶備は玄沙、如何ともせず、跳び出せないんですか。(罪状通知二人で一枚、ちょっと云い忘れたことないか い。)喪身失命多少かある、そりゃたしかにご苦労さんなこったが、(だからそれで許しちゃ、平人を帯累す、よしよしと云われて老師の会下には大小の是がい た、老師はいいよ、はたしておまえさんはいいのかと、兄弟子に云われて慄然。)韶陽は雲門のこと、見てとって、(どうせなら知らずにやれ、一隻眼はかえっ て技倆をなすことを免れず、慧能もと技倆無しですか、ただ説きゃいいんです。)重ねて草を払う、雑草妄想ですか、世間一般妄想まるけのあれありこれあり を、喪身失命と一に帰す、またかえってこれも妄想、再度払うわけです。(落ちきってではどうやって用いる、てめえの居場所もないではないか、ええこのあ ほ。)南北東西たずぬるに処なし、まるっきり自信もなんにもないんです、ただもうその日暮らしの赤貧洗うが如し、(有りや有りや、闍黎眼を見開く、有りや 有りやと坊主ども、なきゃいたたまれないんですか、まあさ。)忽然として突出す柱杖頭。(看よ、高く眼をつけよって、なんのこった、云うからに呆れて、す なわち打つ。)雪峰に投げつけて大口を叩く。(なにさあ手前味噌、千人万人かっさらうたって、うわあ恐いぶるぶる、そんなんだれもわからないよ。)大いに 口を張る閃電、間髪を入れずです。(喪身失命をさ、でもその上の雪峰への公案、さあどうしてくれるってんです、さいわいに末後の一句あり、どうですかこ れ、うっふっふ。)眉毛をちっきすれば卻って見えず、はあてね。(蹉過了也、へえ行っちまった、あんなやつ五湖四海どこ捜したっていないよ、今はどこにい るんだ。)如今蔵して乳峰の前に在り、乳峰は雪竇山のこと象骨巌と相見るみゆ。摩尼宝珠如来蔵裏親しく収籃す、寒山詩にあります、ここにあるよっていうん です。(なんだどこへもって行くんだ、大小の雪竇もこの去就をなす、あっはっは今日おれも大口叩くやつに出会った。)来る者は一一方便を看よ。これとして 仏教、常套文句なし、突出鼈鼻蛇のように、閃電丸出し、いいか、言句上これっから先じゃ、喪身失命どころか、(てめえを振り替える、振り替えるてめえで す。わかったか。)高声に渇して云く、脚下を看よ。どあほ。(賊過ぎて後弓を張る、第二第三、重ねて云う吃るより悪い、脚下を見るになし、玉露宙に浮か ぶ。)

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へきがんろく

第二十二則 雪峰鼈鼻蛇

本則・挙す、雪峰衆に示して云く、南山に一条の鼈鼻蛇あり。(怪を見て怪とせざれば怪自から壊す。大小大の怪事。 妨げず人をして疑著せじむ。)汝等諸人切に須らく好く看るべし。(カ。一場の漏逗。)長慶云く、今日堂中、大いに人有りて喪身失命。(普州の人賊をを送 る。己を以て人に方ぶ。)僧、玄沙に挙似す。(同坑に異土無し。奴は卑を見て慇懃。同病相憐れむ。)玄沙云く、須らく是れ稜兄にして始めて得べし。然かも 此の如くなりと雖も、我は即ち不恁麼。(野狐精の見解を作すことを免れず。是れ什麼の消息ぞ。毒気人を傷る。)僧云く、和尚作麼生。(也好し這の老漢を拶 著す。)玄沙云く、南山を用ひて什も作ん。(釣魚船上の謝三郎。只這の野狐精。猶ほ些子に較れり。喪身失命するも也知らず。)雲門柱杖を以て雪峰の面前に ざんーてへんに竄ー向して、怕るる勢いを作す。(也を怕れて什麼か作ん。一子親しく得たり。一等に是れ精魂を弄す。諸人試みに弁じ看よ。)

雪 峰義存は徳山の嗣、雪峰は巌頭、欽山と同行なり、三たび投子に到り、九たび洞山に上る。のち徳山に参じて方に漆桶を打破す。一日巌頭と欽山を訪はんとし て、鰲山店上に至って雪に隔てらる。巌頭は打睡す。雪峰は一向に坐禅す。とやこうあって巌頭喝して云く、門より入る者は、是れ家珍にあらず。一々自己の胸 襟より流出しもち来って、為に蓋天蓋地にし去れと。峰言下に於て大悟す。便ち礼拝し、連声に叫んで云く、今日始めて是れ鰲山成道と。雪峰、おおよそ上道、 衆に示して云く、一々蓋天蓋地、更に玄と説き妙と説かず。亦心と説き性と説かず。突然として独露す。大火聚の如し。之に近づけば即ち面門を燎卻す。太阿の 剣に似たり。之を擬すれば喪身失命す。若し也佇思停機せば、即ち干渉なしと。南山に鼈鼻蛇あり。鼈鼻蛇は猛毒です、一ころにあの世へ行ける、南山を用いて 何かせんと、風は南より来たる、南無阿弥陀仏ですか、わっはっは、今日堂中、大いに人あって喪身失命、坐っている、泥中に土塊を洗う、はい他なしそれでい いんですよ、いい悪いたって他なしを、なんとかすりゃとやっている、いえそれも同じ喪身失命です。でも善悪わずかにもあれば、いまだ死なず。死ぬと思うそ の殻っけつあれば、たとい南山、たとい鼈鼻蛇。普州の人賊を送る、普州には賊多し、てめえも賊なりという、どっかになあなああるんです。同坑に異土なし、 たった一つです、でもまあこうすりゃこうなる、人真似やってる分には、奴は卑を見て慇懃です。野狐精の見解という、そりゃ漆桶を打破し去るも、比較検討あ れば野狐精。今日始めて鰲山成道あって、蓋天蓋地です。するとただもう追ん出される、三界に家なしですか、雲門杖投げ出して、ひやあ恐ろしです、一子親し く弁じ得たりは、まったく仏と縁切れ、雪峰なざ知らん、ただこれ。

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2007年5月23日 (水)

へきがんろく

頌・蓮花荷葉君に報じて知らしむ。(老婆心切。見成公案。文彩已に彰る。)出水は何ぞ未出の時に如かん。(泥裏に土地を洗ふ。分開せば也好し。ろうーにん べんに龍、おとるの意、とうーにんべんに同、おろかの意、し去る可らず。)江北江南王老に問へ。(主人公什麼の処にか在る。王老師に問ふて什麼かせん。汝 自ら草鞋を踏破す。)一狐疑し了って一狐疑せん。(一坑に埋卻せん。自ら是れ汝疑う。疑情未だ息まざることを免れず。打って云く、会す麼。)

未 出水の時如何、露柱燈籠。出水の時如何、杖頭に日月をかかげ、脚下太だ泥深し。どうですか未出水の人何をもって何をどうするんですか。老婆親切見成公案、 これいったいなんの為にするんですか、文彩已にあらわると、世のため人の為ですか、仏という大悟徹底という、色気筆頭のためにですか。蓮花荷葉君に報じて 知らしむ、若しこれあって、知らずんばまさに迷妄、一神教の無茶苦茶、共産党のてめえ本尊です、百憶の人路頭に迷う、わっはっは地球壊滅です。ろくなこと のないのは歴史が証明する、なんという無惨やるせない人類史、これっから先もいいことはなかったんです。露柱燈籠を知らんからです。ものみなのありよう、 もと五相完具、花鳥風月まさに他なく、知らない存分なんです、おそらくは知っている分が嘘です。人間はでは嘘のかたまりです。どうしても迷妄を開かなくて は、地球宇宙万物に申し開きがつかない。よってもってその結果が、出水は何ぞ未出の時に如かん。です。わかりますか、悟り終わって悟りなし。身心脱落、省 みるにおのれなしをもって始めて雪月花です。悟ったという跡形あっては使えない、でもなにしろいったんはこれを徹底せにゃいかんです、おろそかにするなか れ。江北江南王老師に問え、参じ尽くしてのちに入てん垂手です、王老師はすべての一般人です、混ずる時んば処を知る、用いて諸苦を抜くと、主人公まさにあ り、自ら草鞋を踏み破る、観念思想によらない、個々別々です。これのできるのは仏を於てないんです、よくよく承知して下さい。一狐疑し了って一狐疑す。敢 えて云うんです、悟り終わって悟りなしの人また然り、未だ出水の人幾度狐疑しゅんじゅんも、寄らば大樹の影やっていませんか、甘え根性です。若しこれ無影 下の合同船、同じく狐疑するとはどういうこと、どこかにあると思う、信ずる分をもってする、まったくのなんにもなしを卻って知る、幾度これですか、打って 云く、会すや。

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へきがんろく

第二十一則 智門蓮花荷葉

挙す、僧、智門に問ふ、蓮花未だ水を出でざる時如何。(不疑の地に鈎在す。泥裏に土塊を洗ふ。那裏よりか這の消 息を得来る。)智門云く、蓮花。(一二三四五六七。天下の人を疑殺す。)僧云く、水を出でて後如何。(鬼窟裏に向かって活計を作す莫れ。又恁麼に去る や。)門云く、荷葉。(幽州は猶ほ自ら可なり、最も苦なるは是れ江南。両頭三面。天下の人を笑殺す。)

智門光祚、香林の嗣雲門下三世。這 の蓮花出水と未出水と、これ一かこれ二か。若し恁麼に見得せば、汝に許す箇の入処あることを。若しこれ一と道はば、仏性をまんかんし、真如をろうとうす。 若しこれ二と道はば、心境未だ忘ぜず、解路上に落在して走らば、なんの歇期かあらん。ということです。ことは簡単です、ふらふらしてないんです。蓮花未だ 水を出ざるとき如何、蓮花。悟っていない、どうにも有耶無耶迷悟中、なんとかしてくれという、なんとすりゃいいという、はい、そう云っているそのものなん です。水の中にあって渇を求める、途中受用底、さあそのまんま捨身施虎です。省みる自己なんていらんのです。(不疑の地に鈎在ですか、悟ったらこうなると いう、こやつにひっかかって四苦八苦、どっちみち泥裏に土塊を洗う、いいわるいない、どろんまるけのすったもんだそのものなんです、いったいどこから仏と いう、悟ったらとい、宝貴珍御をひっかついで来たんだ。ええ。)蓮花。(一二三四五六とさ、だれあってやっているだろうがさ、なんだったらぜーんぶ駄目に すりゃいい。ふうっと吹けば飛ぶ。)水を出て後如何、悟ったら、成仏したらどうかと聞くんです、世の中三千世界まったくこれっきゃないが。(鬼窟裏に活 計、ことをかまえてなんのと云ってるんじゃないの、又恁麼にし去るや、そのまんまでいいの。わかったか。)荷葉。自分に首を突っ込む不都合を止めれば、ぜ んたい、あるいはようやく一箇なんです、世間宇宙みんな荷なうのが当たり前。(幽州は北地寒いが平和、幽州てめえに首を突っ込んでいる、囚われ故に平和 の、はーいあなたもまさにそれ、うっふう鳥けものにも劣るなーんてさ。江南は気候はよいが戦乱が絶えないとさ。八面六臂ですか、天下の人を笑殺す、あっ はっはまさにそれ。荷葉。)

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へきがんろく

頌・這の老漢、也未だ剿絶するを得ず。復一頌を成す。(灼然。能く幾人有ってか知る。自ら知る一半に較ることを。頼に末後の句有り。)盧公に付し了るも亦 何ぞ憑らん。(尽大地恁麼の人を討ぬるに也得難し。誰をして領過せしめん。)坐倚将て祖燈を継ぐことを休めよ。(草裏の漢。黒山下に打入して坐す。鬼窟裏 に落在し去れり。)対するに堪へたり暮雲の帰って未だ合せざるに。(一箇半箇。挙著せば即ち錯らん。果然として出不得。)遠山限りなく碧層層。(汝が眼を 塞卻し、汝が耳を塞卻す。深坑に没溺す。更に参ぜよ三十年。)

この老漢未だそうぜつするを得ず、云い足りないもう一言ですか、あっはっは 何ごとかある、また一頌を成す、(灼然、はたして、まったくにです、よく幾人かあって知る、本当にこの事を知る実に稀です、皆無と云っていい、たとい知 る。なにほどか道い得るも、すなわち一半にあたる、坐って坐って坐り抜く、わっはっは絶えざる一半にあたる、どうもこうもですか、転た悟れば転た捨てよで すか、なにさ較るたんびに外れ、遂になんにもないんです、末後の一句有耶無耶、うっふ。)盧公に付し了るも、そうさぜーんぶ引き受けちゃった、でもって世 間一般、だから故にというなし、だったらどうする、何に憑って立つ、ただこれ清々、打てば響く。(尽大地恁麼の人をたずぬるに得難し、語るに落ちたってや つ、どうしようもない手合いだな、ほんにさ、ただもうこうしてるっきりよ、おれだって云ったって仕方ないぜ、仏これ。他に何云うことある。)坐倚もって祖 燈を継ぐことを止めよ、馬鹿なこと云ってるんじゃないの、わしより坐ってる人いないよ、なぜって坐ってる以外にないからさ、倚によって法を説く、いやさそ れは億劫。(でたらめ云うな、妄想真っ黒けが、穿ったこと云うっきりのどけち。)対するに堪えたり暮雲の帰って未だ合せざるに、こいつ解かってます、まさ にこうなんですよ、葛藤あり好悪あってしかも対するに堪えたりです、愛いやつなーんて云っちゃって、同病あい哀れんでんじゃないよ、まったく。もののあり ようかくの如く。(果然として出不得。咄。)遠山限りなく碧層層。いいですか風景が自分になってこっちを見ている感じ、いえそう云うも百歩遅いですか、だ れが坐っているんですか、なにせ自分失せる醍醐味を味わって下さい、ことはそれからです。狙っているものが向こうへ行ってしまう、はーい。(更に参ぜよ三 十年。瞎。)

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2007年5月20日 (日)

へきがんろく

頌・龍牙山裏龍に眼無し。(瞎。別人を謾ずることは即ち得たり。泥裏に土地を洗ふ。天下の人総に知る。)死水何ぞ曾て古風を振はん。(忽然として活する時奈何ともすること無けん。累天下の人に及んで出頭することを得ず。)禅板蒲団用ふること能はず、(阿誰をしてか説かしめん。汝禅板蒲団を要して什麼か作ん。是れ闍黎に分付すること莫し麼。)只応に分付して盧公に与ふべし。(也即ち分付することを著ず。漆桶。這般の見解を作すこと莫れ。)

龍牙先ず翠微、臨済に参じ、後徳山に参ず。遂に問う。学人ばくやの剣によって、師の頭を取らんと擬する時如何。徳山首をのべて云く、か。牙云く、師の頭落ちぬと。山微笑して即ち休し去る。次に洞山に到る。洞山云く、徳山何の言句か有りし。牙前話を挙す。他無語と。洞山云く、道ふこと莫れ語無しと。試みに徳山落つる底の頭をもって、老僧に呈似せよ看んと。牙此に於て省悟あり、遙に香を焚いて、徳山を望んで礼拝懺悔す。徳山聞いて云く、洞山老漢、好悪を知らず。這の漢死し来ること多少ぞ。救い得るも用処か有らん、さもあらばあれ、老僧が頭を担うて天下をめぐって走ることをと。あっはっはこれ面白いです、龍牙山裏龍に眼無し、めくらの龍ですか、(どあほ、知ったかぶりをたぶらかそうたって、たいていなんにもならんは、ものみなのありよう、元の木阿弥、悟ったやつも悟らぬやつも総に元の木阿弥。)死水何ぞかつて古風を振はん、死ねば仏です、めくらの龍も死人に口なしですか、じゃなんの役にも立たない、(忽然として活する時如何、死んで死んで死にきった時、忽然として死体が起き上がる、木人まさに歌い石女立って舞うんです、観念に囚われて死人という、世間一般とはまるっきり別です、別途に頼るんじゃない、ノウハウを云っているそのもの。わざわい天下の人に及んで、出頭することを得ず、のべたんわざわいですか、本当に死なん重病人ですか、そりゃもうどうしようもないな、なに死にゃ病失せる、でもさ物云えば唇寒し。)禅板蒲団を用いて何をしようという、しかもあっちもこっちも同じにさ、というんなら先ずは翠微に、あるいは臨済になってごらん、一指もて全世界動くこれ、そりゃもうなんたって答えのまっただなか、要かつ祖師西来意無しですか。(そんじゃだれもって何云わせりゃいいんだ、どうやっておまえさんにくっつけりゃいいんだ、頭のばしてカと云えば、首ちょん切ってやるが、でもってその頭抱えてつっぱしるってか、うふふ。)只応に分付して盧公に与ふべし。盧公とは雪竇自身のこってす、頭さし延べたんですか、いやさそこらへん謝三郎、一物の仏法無しをさもう一枚。(分付するものなく、分付しようにもなし、著け得ず。ちらともあっちゃ難。)

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2007年5月19日 (土)

へきがんろく

第二十則 龍牙西来意無し

本則・挙す、龍牙翠微に問ふ、如何なるか是れ祖師西来意。(諸方の旧話。也勘過せんと要す。)微云く、我が与めに禅板を過し来るれ。(禅板を用って什麼か作ん。ほとんど合に放過すべし。嶮。)牙、禅板を過して翠微に与ふ。(也是れ把不住。青龍に駕与すれども騎ることを解せず。可惜許。当面に承当せず。)微接得して便ち打つ。(著。箇の死漢を打得して甚の事を済さん。也第二頭に落在し了れり。)牙云く、打つことは即ち打つに任す。要且つ祖師西来意無し。(這の漢第二頭に話在す。賊過ぎて後弓を張る。)牙又臨済に問ふ、如何なるか是れ祖師西来意。(諸方の旧公案。再び問ひ将ち来る。半文銭に直らず。)済云く、我が与に蒲団を過し来れ。曹溪の波浪如し相似たらば、限り無き平人も陸沈せられん。一状に領過す。一坑に埋卻せん。)牙、蒲団を取って臨済に過与す。(依前として把不住。依前として不怜悧。越国に依稀として揚州に髣髴たり。)済、接得して便ち打つ。(著。惜しむ可し這般の死漢を打することを。一模に脱出す。)牙云く、打つことは即ち打つに任す。要且つ祖師西来意無し。(灼然。鬼窟裏に在りて活計を作す。将に便宜を得たりと。賊過ぎて後弓を張る。)
龍牙居遁は洞山良价の嗣、翠微無学、丹霞の嗣青原下四世、臨済義玄は黄檗の嗣、如何なるか是れ祖師西来意という、求道の心他にはなし、求道の結果他にはなし、達磨さん西来意です。そっぽ向いたきりの坊主ども、達磨さんに毒を盛るんじゃ、そりゃどうもこうもないんです。(諸方の旧話、耳たこのこってすか、また勘過せず、重大問題です、なんの問題でもなくなったときにちったあまし。)我がために禅板を過し来れ、取ってくれというのです、禅板とはわしはよく知らんがそういう必需品なんでしょう、禅板を渡せ、(禅板をもって何かせん、さあ何をしようというんですか、あっはっはたいていまったく何にもならんが。)はいよといって手渡す。(また是れ把不住、ちいともわからん、せっかく青龍に駕して騎ってるってのがわからん、惜しいかな、まったく正解だってのがさ、わからんこれ。)接得して打つ、もってきたやつを打つ。(著、「これ。」というんですか、死体を打ったってなんにもならんぜ、死体というのは、祖師西来意に脳天しびれているやつのことを云うんですか、それともあっさり卒業しちゃった死体、わっはっは仏さまですか。いや第二頭に落在すと、臨済も翠微も未だいたらず、なをかつ祖師西来意無しですか、よくよく看よ。)打つことは即ち打つに任す、要且つ祖師西来意無し。(這の漢第二頭に落在す、そうじゃないそれだけのこっちゃないぞというには、禅板をもって来い=担板漢と云うによく、賊過ぎて後弓を張る。いえさ見え見え、ちらともあったら、あったやつが落ちる。そうなああとは省略。

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2007年5月18日 (金)

へきがんろく

頌・対揚深く愛す老倶胝。(癩児伴を率く。同道方に知る。是れ一機一境を免れざることを。)宇宙空じ来るに更に誰か有る。(両箇三箇更に一箇有り。也須らく打殺すべし。)曾て蒼海に向かって浮木を下す。(全く是れ這箇。是なることは即ち是、太孤俊生。破草鞋、什麼の用処か有らん。)夜濤相共に盲亀を接す。(天を撈し地を模す。什麼の了期か有らん。接得して何の用を作すにか堪えん。令に拠って行ず。無仏世界に駻向せん。闍黎一箇の瞎漢を接得す。)

対揚という、人を接するの機、何をどう云ったって、一箇どうあろうが、たいていまったくどうにもならん、歯がゆいというより非力無力ですか、卒啄同時、向こうのやって来るのを待つ、あるいはしでかしたへーえと感嘆する他はなく、ただ一箇死ぬまでして、ミイラにでもなり終わるしかなく、それでも満足は大満足大安心です。曾て蒼海に浮木を下す、法華経に云く、一眼の亀の浮木の孔に値うて、没溺の患い無きが如くと。生死海中にあって大法の縁、夜濤あいともに盲亀を接すと、別段のことはなしただ是れ、一指頭あるいは有りや無しや。衆生業海の中にあって、頭出頭没して自己を明きらあめず、出期あることなし。倶胝老慈を垂れて、盲亀を接す、一指頭全世界ですか、悟り終わるも悟らずも、これ有りやまた無しや。あなたにとって一指頭とはただの観念ですか、おうむ返しですか、指ぶった切られなきゃ痛恨せんですか。たとい一機一用もまた、なにかしら役立たず、対揚深く愛すと、どこまで行こうがとっかかり、ひっかかり。父母未生前なんの変哲もないのにさ、あっはっはどうしようもないですな。

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2007年5月15日 (火)

へきがんろく

第十九則 倶胝只一指を竪つ

本則・挙す、倶胝和尚、凡そ所問あれば、(什麼の消息か有る。鈍根の阿師。)只一指を竪つ。(這の老漢也天下の人の舌頭を坐断せんことを要す。熱するときんば即ち普天普地熱し、寒するちきは即ち普天普地寒す。天下の人の舌頭を換卻す。)

若し指頭上に向かって会せば、即ち倶胝に辜負せん。若し指頭上に向かって会せずんば、即ち生鉄鋳就すに相似ん。会も也恁麼にし去り、不会も也恁麼にし去り、高も也恁麼にし去り、低も也恁麼にし去り、是も也恁麼にし去り、非も也恁麼にし去る、このゆえに道ふ、一塵わずかに起こって、大地全く収まり、一花開かんと欲して、世界即ち起こる。一毛頭の獅子、百毛頭に現ずと。まずはよくこの意を体して下さい、一指頭如何、まったく他なしです。倶胝和尚はム州金華の人、初め住庵のとき、一尼有り、実際と名ずく。庵に至って直に笠を下ろさず、錫を持して禅床をめぐること三匝して云く、道ひ得ば即ち笠を下さんと。是くの如く三たび問ふ。倶胝対無し。尼即ち去る。倶胝日く、日も暮れるに、しばらく留まって一泊せよと。尼日く道ひ得ば即ち宿さんと。胝対無し。尼便ち行く。胝嘆じて日く、我大丈夫の形して、しかも丈夫の気なしと、遂に発奮してこの事を明きらめんと欲す、庵を捨て諸方に参じ、打畳行脚せんと擬す。その夜の夢に山神告げて日く、ここを去ることを須ひざれ、来日肉身の菩薩有り来たって、和尚の為に説法せんと。はたして次の日、天龍和尚庵に到る。胝すなわち迎へ礼じて、つぶさに前事を陳ぶ。天龍只一指を竪てて之に応ず。倶胝忽然として大悟す。このゆえに倶胝凡よそ所問あれば、只一指を竪つ。倶胝庵中に、一童子あり、人に和尚よのつね何の法をか説くと云われて、童子指頭を竪起す、帰って師に挙似す。倶胝刀をもってその指を断つ。童子叫喚して走り出ず。倶胝召すこと一声、童子首をめぐらす。倶胝指頭を竪起す。童子瞎然として領解す。どうですか、よく知られたこれ。

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2007年5月14日 (月)

へきがんろく

頌・無縫塔。(這の一縫大小大。什麼と道ふぞ。)見ること還って難し。(眼の見る可きに非ず。瞎。)澄潭許さず蒼龍の蟠ることを。(見る麼。洪波浩渺。蒼龍什麼の処に向かってか蟠る。這裏直に得たり模索不著なることを。)層落落。(眼花すること莫れ。眼花して什麼かせん。)影団団。(通身是れ眼。七に落ち八に落つ。両両三三旧路に行く。左転右転後へに随い来る。)千古万古人に与へて看せしむ。(見る麼。瞎漢作麼生か看ん。闍黎覩得見す麼。)

無縫塔見ること還って難しと、しかも独露して私無しといえども、即ち是れ見んと要するに還って難し。雪竇慈悲、更に汝に向かって道ふ、澄潭許さず蒼龍の蟠ることをと。箇の無縫塔まずもって坐って下さい、坐るとは仏を現ずることです、自らの外に向かって参じて下さい、私するなにもないんです、見ようとしたって見えない、見るものもなければ、見られるものもない、しかも独露身箇の無縫塔、澄潭許さず蒼龍のわだかまることをと、なにごとか残っていたら、異物異論です、悟りといい仏教といい他をあげつらう、すなわち納得行かないんです。活仏これ、層落落という、洪波浩渺も更に葛藤あろうが、層落落、日々是好日とも云わぬ、眼花とは妄想世間です、通身是眼もってかすっともすらない、七花八裂して過ぎるに任す、わっはっは両両三三旧路に行く、まったくかつてと変わらないんです。左転右転後へに随い来ると、面白うかくの如く、千古万古人に与えて看せしむ、仏という永遠の姿です、その実際をよろしくっよく見て取って下さい。他ではないんです、もとのありようこれ、瞎漢おろか人ですか、世の人見れども見えず、行なわれ尽くすこれ、よくよく見よ、坊主という無駄飯食いじゃないはず。

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2007年5月13日 (日)

へきがんろく

第十八則 忠国師無縫塔

本則・肅宗皇帝。(本是れ代宗、此には誤る。)忠国師に問ふ、百年の後所須何物ぞ。(預め掻いて痒きを待つ。果然模を起こし様を描く。老老大大這の去就を作す。東を指して西と作すべからず。)国師云く、老僧の与に箇の無縫塔を作れ。(把不住。)帝云く、請ふ師塔様。(好し一箚を与ふるに。)国師良久して云く、会す麼。(囚に停まって智を長ず。直に得たり東を指し西を画し、南をもって北と作すことを。直に得たり口扁担に似たることを。)帝云く、不会。(頼ひに不会に値ふ、当時更に一拶を与へて伊をして満口に霜を含ましめば卻って些子に較らん。)国師云く、吾に付法の弟子耽源といふものあり、卻って此の事を諳んず。請ふ詔して之に問へ。(頼ひに禅床を掀倒せざるに値ふ。何ぞ佗に本分の草料を与へざる。人をだ胡すること莫くんば好し。一著を放過す。)国師遷化の後、(惜しむ可し。果然として錯って定盤星を認む。)帝、耽源に詔して、此意如何と問ふ。(子は父の業を承け去る。也第二頭第三頭に落在す。)源云く、湘の南、潭の北。(也是れ把不住。両両三三什麼をか作す。半開半合。)雪竇著語して云く、独掌浪りに鳴らず。(一盲衆盲を引く。果然として語に随って解を生ず。邪に随ひ悪を逐うて什麼か作ん。)中に黄金有って一国に充つ。(上は是れ天、下は是れ地、這箇の消息無し。是れ誰が分上の事ぞ。)雪竇著語して云く、山形の柱杖子。(拗折了也。也是れ模を起こして様を描く。)無影樹下の合同船。(祖師喪し了れり。闍黎什麼と道ふぞ。)雪竇著語して云く、海晏河清。(洪波浩渺白浪滔天。猶ほ些子に較れり。)瑠璃殿上に知識無し。(咄。)雪竇著語して云く、拈了也。(賊過ぎて後弓を張る。言猶ほ耳に在り。)

慧忠国師は六祖の嗣、肅宗代宗また玄宗の子孫なり、太子なりし時常に参禅す。如何なるか是れ十身調御と問ふるは肅宗、国師まさにねはんに入らんとす、代宗問ふて日く、国師百年の後所須如何と、百年後にどうしたらよかろうと聞く。国師云く、老僧のために箇の無縫塔を作れ、縫い目のない塔です、帝云く、塔様如何。(あらかじめ掻いて痒きを待つ、俗人必ずこれです、模を起こし様を描く、人まねしてこうあるべき、だからという、老老大大いやごくろうさん、東を指し西となす、たいていそっぽを向いているんです、はいあなた自身のこと。)無縫塔とは何か、ものみな無縫塔、把握すること不可能なんです、これかれにあらず、影形相見る。(好し一箚を与えるに、はいそういうこと。)国師、良久して云く、会すや。箇の無縫塔、この通りと示す、これかれにあらず、彼まさにこれ汝、(囚われに停まって智えを長ず、世の人まさにこれ、ついに届かず、東を指し西を画し南をもって北となす、なんにもならずはくたびれるっきり、口への字に結ぶことを得たり、お釈迦さま良久して、結果なしですか。)帝云く、不会。(わかったと云って、いいやなにほどかわからしめて、満口に霜を含むよりはましと、仏法苦渋ですか、いいかげん飽き飽きするんですか。まさか。)付法の耽源に詔して問えと云うて遷化す。(禅床を蹴倒す、うっふう帝だろうがやりかねない、本分の草料を与える、だこ駄目にしちゃならんよと、せっかくおっぱなしちまった。)帝詔して耽源に問う。(子は父をうけがう、三文やすですか、聞くほうも定盤星だってもさ。)湘の南潭の北、中に黄金有って一国に充つ、無影樹下の合同船、瑠璃殿上に知識なしと、耽源応真、国師の侍者となる、のちに耽源寺に住す。湘の南潭の北、独掌みだりに鳴らず、湘は洞庭湖に注ぐ河の名ですか、湘と潭といいですねえ、まったい他なしに、独掌みだりに鳴らず、打てば響くんです、(一盲衆盲を引く、無縫塔とは縫い目のない塔、仏はすなわちという、解釈してみたってなんにもならない、見えるものこれ、見えぬものあれ、湘と潭と有無にわたる、海安河清は、日々是好日だから云々です、打てば響くとは、言い訳の役立たずじゃないんです。用いざれば不可。)中に黄金あって一国に充つ、はいこれ、無影樹下の合同船、はい彼岸にわたる法の櫂、三千世界だれかれみんなです、瑠璃殿上に知識なし、知らず知らず帝の則に契うことこれ、瑠璃殿まっ平ら、拈了や、わかったかったって、賊過ぎて弓を張る。

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2007年5月12日 (土)

へきがんろく

頌・一箇両箇千万箇。(何ぞ依って之れを行ぜざる。麻の如く粟に似たり。群を成し隊を作して什麼かにせん。)籠頭を脱却し角駄を卸す。(今日より去って応に須らく灑灑落落たるべし。還って休得すや也未だしや。)左転右転後へに随ひ来る。(猶ほ自ら放不下。影影響響。便ち打たん。)紫胡劉鉄磨を打たんことを要す。(山僧柱杖子を拗折して更に此の令を行ぜず。賊過ぎて後弓を張る。便ち打たん。嶮。)

一箇両箇千万箇、籠頭を脱却し角駄を卸す、灑灑落落として、生死の所染を被らず。だれかれ尽大地、籠頭、考え思想に囚われてああでもないこうでもないする、妄想人間ですか、角駄、こうあらねばならぬ、だからどうだの物差し人間ですか、よってもって世界混乱、いたずらに歴史を編む。どうしようもこうしようもない無駄ことです、一人わずかに免れれば一箇両箇千万箇ですか、しゃらくらくあるがようにある、個々別々花のように知らんわいの世界です。ビジュアルに知るなら雪舟の絵がいいです、わずかに自分というものなければ、ものみなかくの如くです、デフォルメも空間処理もない、実にあのように現ずる、何ぞ依って之を行ぜざる、さあやって下さい、人っことなんかいいです、一個本来ならば、千箇万箇相通ずるんです。麻の如く粟の如く、無無明亦無無明尽ですか、灑灑落落。かえって休得すや也た未だしや、あっはっはまったく未だしです、どこまで行こうがはいぼんくらです。紫胡は南泉に参ずる、時に劉鉄磨い(さんずいに為)山の下に在って庵を結ぶ、みなまたこれを如何ともせず。一日紫胡訪うて云く、便ち是れ劉鉄磨なること莫しや。磨云く、不敢。胡云く、左転か右転か。磨云く、和尚顛倒すること莫れ。胡声に和して便ち打つ。如何なるかこれ祖師西来意、坐久成労。左転右転後へに随い来る。わっはっは坐久成労を知る、すなわち打たんことを要す。なを自ら放不下、なんてえこった不可。山僧柱杖子を折って更に行ぜず、追い打ちはポイントにならんよ、かすっともかすったら、わっはっはどもならん、どもならんたって、かすらない坐禅をするがいいさ、払拭。

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2007年5月11日 (金)

へきがんろく

第十七則 香林坐久成労

本則・挙す、僧、香林に問ふ、如何なるか是れ祖師西来意。(大いに人の疑著する有り。猶ほ這箇の消息有る在り。)林云く、坐久成労。(魚行けば水濁り、鳥飛べば毛落つ。狗口を合取せば好し。作家の眼目。鋸解称鎚。)

香林澄遠は雲門の嗣、会下にあって十八年、雲門常に遠侍者と呼ぶ、わずかに応諾あれば、門云く、是れ什麼ぞと。香林見解を呈す、精魂を弄して終に契わず。一日忽ち云く、我会せりと。門云く、何ぞ向上に道ひ将ち来らざると。また住すること三年。まさに是れ大機用、雲門おおよそ一言一句あれば、すべて遠侍者の処に収在す。雲門下香林派もっとも盛んなりと、八十歳遷化す。如何なるか是れ祖師西来意、坐久成労。達磨さんがこの地にやって来た意はと問う、すべての問いがあるんですか、すなわち自分はどうなっているかという、たった一つだけです、(大いに人の疑著するありとは、達磨さんに毒を盛る連中からはじまって、半信半疑からそっぽを向くまで、人間という曖昧模糊ですか、それとも一木一草ですか、なを這箇の消息あり、たった一個に帰るんです、さあどうしたらいいか、どうしたらいいかの皮面剥げ。)坐久成労、坐りくたびれたって云うんです、(魚行けば水濁り、鳥飛べば毛落つ、坐ったらどうなるって、坐らねばどうもならんて、直指人身見性成仏、もとこれ、他にはまったくなしを、坐久成労ですか、がーんと一発ぶん殴られ、狗は犬です、狗子に仏性有りやまた無しやでもいいんです、うわっと口塞ぐによし、犬ころやってたら犬ころごと。作家とは始めて独立独歩人です、正解彼が手裏にあり、鋸解称鎚、のこぎりが解かってかなずちと称するんですか、わっはっは解不得だってさ。わかりますか。)

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2007年5月10日 (木)

とんとむかし

  やふの剣

 とんとむかしがあったとさ。
 むかし、湯殿のやふのお館に、物もらいが来て、
「わしがこの家の主だ。」
 といった、
「七つのときに行方知れずになった。」
 神代から、湯殿山は世のしずめと云われて、やふのお館は、また二荒のお館という名門であった。
 たしかに、三つで行方知れずになった、双子の兄がいた。
 物もらいの云うことなど、聞いてはいられぬ。
 こやつは笛を手に、門付けして歩くという噂、
「用はない、行け。」
「ふたらのやふのお館、わしが継ぐべき正当の者。」
 物もらいは居直る、
「いいから去れ。」
「名をふたらのきよえ。」
 兄はそういう名であった。
 兵が出て、追い払おうとする、物もらいは三人を叩き伏せた。
 用人が出た、
「いくら欲しい。」
「ちがう、わしがここの主だ。」
「なぜに。」
「聞こえるか。」
 物もらいが云った。
 とつぜん、美しい笛の音が鳴りとよむ、
「ふたらの一はわが剣、ふたらの一は笛。」
 どこに聞こえるのか。
 風景ぜんたいに鳴っているのか。
 舞い歌い、
「ゆどのやま、
 いにしへ神の、
 召すにより、
 名をし聞こえん、
 ふたらのきよえ。」
 一興して笛は納まった。
「わかった、おまえさまを信じよう、伝えに聞いた一人で二人、二荒の、よろずに抜きん出た、浮き世の道を。」
 用人は平伏した。
「では、しばらく。」
 引き込んで、次は年寄りと、二人の美しい女が出た。
「これらの名を云え。」
 女を指して、年寄りが云った、
「跡継ぎなれば、知らぬはずはなかろう。」
 物もらいは、二人をと見こう見した。
「知らぬが。」
「なんとな。」
 年寄りは、呪文を唱えた、
「のうまくさまんだ、もっほどーちえ、あんらかん、ふんだりすかやすーとら。」
「なんだそれは。」
 物もらいは怒った。
「うむ、陰陽の要。」
 年寄りは立つ、
「あたしはかえで。」
「わたしはすぎ。」
 女たちが名告る。
「もしやまことのふたらさま。」
 年寄りは引っ立てる、
「こやつはただの物もらいだ、お館をゆすって、銭にしようとする。」
「かえでとすぎはきよえの盾。」
 耳に残って、二人は去る。
 腕だけはしたたかだ、油断するな、つまみ出せ、殺してもかまわんと聞こえて、押し寄せた。
 柄ものをとって囲む。
 そやつらを薙ぎ倒し、
「配下の者を、殺すわけには行かぬ。」
 物もらいは云った、
「無益なことはやめて、主となるものを出せ。」
 防いでもきりがない。
 軒は破れ、倒れ傷つくもの、
「待て。」
 しずまれといって、若人が出た、
「わしが主だがおまえは。」
 と云う。
 どこか体が弱いらしく、いさかいを避ける、
「出るなと云われたが、そちの申し状はいったいなんじゃ。」
 と聞いた。
 ものもらいは仁王立ち、
「わしが正当の主だ、そっちはなんだ。」
「十六に跡を継いで、今にいたったが。」
「ふたらの一は汝、ふたらのもう一はどこへ。」
「なんとな。」
 物もらいは用人を見る。
 用人はわきを向いた、
「まあよいは、引き取れ、もしおまえが正当だというなら、やふの剣をとって来い、ゆずらんでもないぞ、館を。」
 主なるものは云った。
「うむ。」
 伝説の剣は、ふたらの巖に蔵されると云われて、千年の時を経て、今はその所在も知れぬ。
 陰陽の世を支配するという、やふの剣。
 物もらいは総勢を見回した、
「そのようなものはなくとも、うぬらを平らげることはやすい、だが取って来ようぞ、わしにも興がある、かの神変不思議。」
 主に向かって云った、
「そのあかときは、館を明け渡すか。」
 主はうなずいた。
「では。」
 物もらいは、太刀を取った。
 舞いながら去る。
 美しい女が現れて、笛を吹く、
「さうやさうさう、
 これは美はし、
 笛の音や
 行くはふたらの、
 太刀の舞い。」
 ゆるやかに舞う太刀の一振り。
 柳の枝が十二に切られて落ちる。
 人みな息を呑んだ。
 十歩を歩んで、
「しからのあけみ。」
 と呼ぶ。
 声にしたがい美しい女は、物もらいの腕なに消えた。

 やふの剣はふたらの七代が隠したという、天変地異が起こって、世ならぬものが現れ、切って捨てると、すなわち世ならぬ力が宿って、いたずらに殺傷する。
 お館は七代によって安堵し、やふの剣は名を上げたが、
「両刃の剣なり、使い手を選ぶ。」
 といって、巌に封じた。
 やふの剣に母を殺し、おのれはめくらになったという。
「まずは郷へ帰ることじゃ。」
 姿を現して、美しい女が云った。
「これからはわたしが案内しよう、お仲間を集めることじゃ、一人では叶わぬ。」
 波のように、風のように笛は鳴り、ふたらのきよえという、物もらいの道行き。
「わしはおおかみに育てられたと聞くが。」
 きよえは云った。
「そういうこともあったかも知れぬ。」
 笛の女は云った。
「いずれじいのはかりごと。」
「じいはなにもの。」
「陰陽をはかって、末世を救おうとする、しからの長老の、それが務め。」
 笹の原を行き、無数のねずみが襲う。だけかんばの山を行き、猿の群れが襲い。きよえは殺しもせず、うるさったく払いのけ、しらびその、くみの里へ来た。
「ぴーひゃらとんび。」
 笛が鳴ると、縄の帯しめた怪童が飛び出した、
「さいた、おん前に。」
「やふの剣を取りに行く、従え。」
 きよえは云った。
 怪童のさいたはうなずいて、あとへ従った。
 烏の襲うさるけ谷内を行き、ひきの鳴く、おんやの里へ来た、
「ぴーひゃらひき。」
 笛の音に、すげ笠の大男が現れた。
「ねおう、おん前に。」
「やふの剣を取りに行く、従え。」
 大男のねおうは、つきしたがった。
 山蛭の道を行き、蛇のやわたを抜け、おせどの里へ来た。
 刀のおうろと、三又の槍のまだらがつき従った。
 湯殿の山にけむり立つ。
 しからというは、これは七代さまの、隠れ里と。
 笛の音に、虹がかかる。
 宝のありかという、美はしの里。
 まっしろに年老いた狼のつがいが、しからのじいのかばねを守っていた。
 すでに死んだ。
 彼が申し状のように、ふたらのお館へ入ることは叶わなかった、
 葬るしかないか。
 笛が鳴り響む。
 村中が集まった。
 しからのもがりは簡単であった。
 みなして一言を手向けして、歌っては荼毘に付す。
「日は落ち、
 月は上り、
 いくとこしなへ、
 草ぼうぼう、
 煙じょうじょう。」
 煙が龍になった。
 紅蓮の炎を吐く。
「伝えの通りだな、では問をう。」
 きよえが云った、
「やふの剣の在処は。」
「やふの滝を通ひて、しんごんの巌。」
 吐きかける炎が、道順を示す。
 きよえは心に印す。
「真言はいかに。」
「のうまくさまんだ、うんけんそわか、しずやしずなんだい、あ。」
 告げ終わって、龍は消えた。
 美わしの里からは、弓のてんまといしゅみのはふと、棒のだんが従った。
 あしたを待って、一行は出発した、
 あかつきをおおかみが吠える、
「さきおひをよみす。ぴーひゃらぴ。」
 笛が応じた。
「敵が襲うと云っている、らじにいの族二つ、りんざの族、てらんの族、そうしてわけもわからぬもの。」
 やふの剣は、宝を隠すという。
 無尽蔵の宝をという、伝へを真に受けるものら。
 ぐろという者が待つ、
「里の者だ加えてくれ。」
 という。
「ちがうよそものだ。」
「妻は里のものだ、夫婦で賄いをしよう。」
「そんなものはいらん。」
 ねおうが云った、
「身の回りはする。」
 だが仲間になった。しまという妻のほうが油断ならぬ、取り入ってふてぶてしく。

 やふの谷はせんどの回廊を行く。
 両側をなでのつく絶壁、
「さいたとまだら行け。」
 ねおうが云った。
「弓のてんま、ところを取れ。」
 さいたとまだらが行く。
 石が一つころげ落ちて、なにごともなく。
「ぐろ夫婦来い、さあわしとな。」
 さいたが引っ立てる。
「石の落ちたあたりだ、てんま。」
 云いおいて行く。
 なでついて、ねおうを目指して襲いかかる、てんまの弓が四人を射た。
 引き上げ切れずに二人、がけをずり落ちる。
 さいたとまだらが押さえ込んだ。
 叫び上げる。
「龍の真言を、地図を示せ、われらこそ宝を継ぐもの。」
「ちがうな。」
 名告りも聞かず、きよえは刺し殺す。
 もはや襲うまいといって、行く。
 回廊を抜けて、清見の、うまらの原であった。
 錦ののぼりが立つ、
「らじにの旗だ。」
 おうろが云った、
「光明はわれにあり、戦をもって明かそうぞ。」
 正義を見よとて、百人二百人襲いかかる。
 ふたらのきよえは受けて立つ。
 さいたは槍、ねおうは長刀、まだらは三つ又の槍、てんまは弓、はぷはいしゅみ、お−ろは刀、だんは棒。
 一人十数人を薙ぎ倒し、きよえはらじにの本拠を襲う。
 三つ又を縄にからめ取られて、まだらが宙吊りになった。
 笛が鳴りとよむ。
 うまらの原が波をうつ。
 はぷのいしゅみが、まだらの縄を切った。
 ぐろが、ねおうに首ねっこを押さえられ、
「こやつ戦泥棒だ。」
「いえわしらは、賄いに用立てようと。」
「まあよい。」
 ねおうが突き放す。
 きよえは、らじにの頭領を捕えた。
「云え。」
「七代さまの正統はわしらだ、龍の真言を聞きたい、地図とな。」
「では刀をとれ。」
 頭領は、光明の刀をとる。
 きよえは一撃に倒して、むくろを烏どもにほおった。
 しまの目が金色に光る、賄いの夕闇、
「どういうことだ。」
「もしや。」
 のうまくさまんだ、呪文だ。年寄りが、世ならぬものを呼んだ。封じ込めるはずが。

 りんじが襲いかかる。
 これは黒衣の集団。
「宝はくれてやろう、剣はわれらがもの。」
 という、ぶなの森であった。
 ぶなから湧いて出る。
 槍のさいたが頬をえぐられ、刀のおうろが二人を倒してひじを切られ、だんが棒をふるって、追いつめられ、
「走れ。」
 きよえは叫んだ、
「森を抜けろ、せんじょうの原に弓といしゅみだ。」
 払いのけぶちかまし、必死に突っ切った。
 手だれがようやく逃げおうせ、ぐろ夫婦は息も切らさず。
 ぐろは、倒された衣を剥いで着る。
 しまはこうもりに変化する。
 まわりから、無数の影が浮かんで、敵も味方もなくまつわりついた。
 せんじょうの原だ。
 森を抜けて来るりんじを、えんまの弓とはふのいしゅみが射貫く。
「我らを追う他はないからな。」
 きよえがいった、
 笛の美しい女が現れ、
「世ならぬものは、よこしまに、おろかものに頼って出現する、わたしに任せておけ。」
 笛の音に、ぐろとしまが舞う、
 森に入って、りんじを引っ張り出す。
 りんじの頭領が浮かれ出る。
 幻影に血迷う、そやつをひっとらえた、
「剣を受けるはわれら。」
 りんじの棟梁はいった、
「笛の女をしからに返せ、まぼろしではない、実際こそは。」
 きよえは首を刎ねた。
 せんじょうの原のはて、しずめの滝をわたる。
 てらんが現れた、
 もえぎの鎧。
「さよう一番の難所よ、ここを抜ければ、じきに手に入る、剣はくれてやろう、宝を貰う。」
 てらんの棟梁がいった、
「宝をよこすならば、すんなりと通すが。」
 激戦になった。
 ねおうときよえとおうろの他は、倒されるか、滝に呑まれて押し流される。
 笛があとを追う、
「笛を頼りに泳げ。」
 渦巻き流れる。
 美しい衣のあとへ、おうろが落ちた。
 きよえとねおうは、切り伏せ、突き刺して滝の洞へ。
 どうめく滝の裏、
「行け、抜けるとしんごんの巖。」
 二人は暗黒を行く、
「待てえおうわんわん。」
「何をおうわんわん。」
 こだまを、笛の音が追い。
 これは笑い声。
「おうっほっほ笛の女、おまえに代わってお仲間どもは助けてやったぞ、だれしもを救うもの、てるぜ。」
 なんというみにくい、
 びったりとひっついて。
「おうさ、またわれらが世。」
 虚ろに男の声。
 世ならぬ戦。
 笛が高鳴って、世ならぬ戦の激しさ。
 きよえもねおうも手が出せず。

 洞を抜けて日にまぶしく。
 てらんの棟梁がいた。
 叫ぶ。
「剣を、宝はわがもの。」
 きよえは刺し殺す。
 そのむくろが蘇る、
「宝ももらおうか、つるぎもな。」
「剣も欲しいが宝もな。」
 無数によみがえる。
「こやつはなにもの。」
 きよえとねおうは、切り伏せ、突き刺し、
「はっはっは、死んだものは二度とは死なぬ。」
 腕を伸ばして、きよえとねおうの首をしめる、
 万力のように、
「あけみ。」
 笛が鳴る。
 万力のような腕がほどけ、
「巖へ。」
「よし。」
 二人は走った。
 うなり声がして、虎がおどり出る、
 ばけもののような大こうもりと。
 巴になって、美しい笛の女を襲う。
 むくろどもが手をさしのばす。
「剣に頼る他ない。」
 巖は草むして立つ。
 なにをどうすればよい。
 真言を唱えた、
「のうまくさまんだ、うんけんそわか、しずやしずなんだい、あ。」
 なんにも起こらない。
 きよえが、無造作に手をつっこんだ、
 黄金の剣を引き抜く。
「きえい。」
 一振りすると、ものみな失せた。
 さんと日の光。
 しんごんの巖に一礼して、二人は引き返す。
「みな命を失った、わしらのみ生きているのは、どうしたことだ。」
「剣を手にしたということ。」
 滝を抜けるとさいたがいた、
「そうか、生きていたか。」
「笛の音に浮かび上がって、岸にたどりついた。」
「世ならぬものは。」
「なにまやかしさ、わっはっはわしらがあんなものに。」
 おうろが待っていた。
「やつらを退治てくれようとて、流れにはまった、やっつけたら虎になったぞ、おっそろしげな幻にな。」
 道行きにしたがい、まだらがいた。
 だんもいた。
 柄ものをもつ者は弓のてんまだけだったが、みな無事であった。
「まやかしに、引き入れられるわけはない。」
 みなまた笑った。
「笛はどうした、滝から浮かび上がらせてくれたが。」
「あの美しい女だけがいない。」
「うむ。」
 消えていた。
 地の底に奪われたか。
 ぐろも失せ、しまは姿を現わして逃げた。
 総勢して、やふのお館に乗り込んだ。
 主に剣を示す。
「そのものがまことであれば。」
「まことさ。」
 黄金の剣を、きよえは抜きはなった。
 そっ首を刎ねんいきおい、
「わ、わかった。」
 きっさきに光が走り、霧が吹くように龍のおもかげが浮かぶ。
「そのものは世を支配するという、持ち主の願いを聞くという、して宝のありかは。」
 主は聞いた。
「そうか、願いを聞くのか。」
 きよえはいった、
「待て、おろそかに願うべきではない。」
 主は慌てた、
「あけみを救え剣よ、しからの妹を。」
 光ぼうは炎になって突っ走る、雷鳴って、地の底から、なにものか現れ出る、あたりはしずまりかえった。
 傷だらけの虎とこうもり。
 美しい女を、そこへ残して消えた。
 息も絶えるあけみ、
「しからにほうむって。」
 と聞こえ、一管の笛になった。
 剣をなげうって、きよえは笛を拾った。
「引こうぞ、ものみな終わった。」
 きよえはいった。
 主が黄金の剣をかすめとる、
「これさえあれば。」
 抜きはなって、どこか軟弱であった主が、金剛力士のように立つ、
 目は妖しい炎、
「笛をもってとっとと失せろ、物もらいども。」
 そのあたりが燃える。
「龍の炎がまつわりついて、消したら燃えうつった。」
 おうろがいった。
「わしも世ならぬものに、とっつかれておった。」
 たちまち燃えひろがって、火は館を覆う。
 剣をもった主を追うごとく。
「かえでとすぎを、あれはお蔵の鍵。」
 笛がさやめき、かえでとすぎを救って、館を抜け出した。
 年寄りや用人はどうなったか。
 焼け落ちたあとにかなさびた剣があった。
「宝のあるゆえに、しからは美しの里。」
 笛が云った。
「はい。」
 かえでとすぎが鍵になった。

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とんとむかし

   花の名

 とんとむかしがあったとさ。
 むかし、しんぞ村の太兵衛どんは、夫婦そろって六十になった。しきたりでもって、おっかあと、お山のお釜神社にお参りした。
 神主がおっかあに云った。
「夫に従うか、それとも別か。」
「従います。」
 おっかあは云った。
「それでは、花の畑をわたって、お釜に行け。」
 二人はつれだって花の畑を行く。
 美しい花に花、夢のような、お浄土のような。
 まっしろいひげのじいさまいた。花をとって、
「これはうずしろのなんねんげ。」
 と云った。
 白い雪のような花の、うずしろのなんねんげ。
 お釜は真く澄んで、伝えのように、十万億土へまっしぐら、
「こう。」
 と呼ぶ、
「用なしはこう。」
 と聞こえ。
 しっかり手取り合って、おっかあと二人すざった。
 霧が閉ざす。
 もうなんにも見えなかった。
 引き返したら、神主が聞く、
「花の名はなんていう。」
 太兵衛は覚えなかった、
「それじゃもう戻れねえ。」
 神主が、とつぜん鬼になった。
「うずしろのなんねんげ。」
 おっかあが云った。
 もとの神主だった。
 夫婦はお山を下りた。二人は赤ん坊のようになって、あと何年か生きた。

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とんとむかし

  両手に花

 とんとむかしがあったとさ。
 むかし、せんど村に、げんごろうという男がいた。
 びっこでめっかちで、嫁なしだった。
 やまいも掘りの名人だって、お殿さまにも献上したそうの。ある日、やまいもを二本掘って、わらずとにして、売りに行ったら、お宮に乞食がいて、そこらへんでくそひった。
「うわあくせえ、お宮でねえか、なんたらこな。」
「出るものはしかたがねえ。」
 乞食は云った。
「しかたねえって、始末はしてけ。」
 げんごろうはいって、通りすぎた。でもどっかくせえ、なんとしたや、わらじのはしっこに、とっついた。
「くっそ乞食。」
 川で洗って、草っぱに拭いて、そんでもどっかくせえ、
「くう、なんて日だ。」
 げんごろうのやまいもといって、売り歩いたが売れぬ。
「あ−あそういうこった。」
 と、帰って来たら、なんと乞食が死んでいた。
「くそひった乞食だっても。」
 げんごろうは、村役、坊さまつれてきて、
「くっせえ縁だでしかなええ。」
 といって、とむらい出した。
 したら、夢に乞食が出て、
「せんどの宮のお使いである。」
 と云った。
「なにをえらそうこいて、へっぴり乞食が。」
 と、げんごろう、
「嫁が欲しいか。」
 という、
「ふん、嫁っこの二人ももってこう。」
 といって、眠くなって寝た。変だな夢ん中で眠るぜ、くそふんずけたせいだ、寝る子は育つといって、あした朝。
 めっかちでびっこに、花の着物きた女がいて、そうして、もみじの着物きた女がいて、
「お早うさん。」
「お目覚めなされたか、おっほ。」
 といった、
「きえ−。」
 げんごろうは、破れ蒲団ひっかむった。
 はあて、そのまんま夢の、としかさをお花といい、二つ下をかえでといった、
「おまえさまがた、どっから来なさった。」
 旅の者でという、
「どこへ行きなさる。」
「おまえさまの嫁になる。」
「二人で。」
「はい。」
「間違いにしちゃあんまり。」
 そんなで半月たった。
 げんごろうは、やまいも掘って、ほかのことは知らず、二人嫁さまは、よく笑い、にぎやかでもって、用をいとわず。
 村中よったくって、だれかれいた。
「おらどっち貰えばいいだか。」
 げんごろうははや、
「うーんどうすべえ。」
 お花にかけあえばうふうと笑う、かえでにせまればおほうと笑う。とつぜん、泣いたり怒ったり、
「こりゃたまらん、一人暮らしがええ。」
 たって、嫁欲しい。
 せんどの宮の、そりゃお祭りだった。
 村中よったくって、美しい嫁さま二人もいた、めっかちとびっこの、やまいも掘りのげんごろうが、舞いを奉納、
「おら不調法だ。」
 たって聞かぬ。
 花もかえでも浮き浮き。はあて両手に花の舞い、
「花も咲く、
 もみじも散るは、
 めっかちびっこの、
 やまいも掘りが、
 両天秤、
 ありゃさ。
 月はぺっかり。
 流転三界。」
 どんがらぴーと妙に拍子が合って、
「お殿さまだて、
 珍重どっこい、
 両手にぶーらり、
 やまのいも。」
 どーんと大受け、そうしてこうして、どうなったか、おとのさまに招ばれて、美しい二人妻と、やまいもの舞い。
 二人妻、おとのさまに召し上げられて、げんごろうは、年寄って、乞食して歩いていた。
 ひり下して、見りゃお宮の前、
「なんたらこんげなとこで。」
 怒鳴り声が聞こえた。
「二人抱けてりゃ、乞食しなかったな。」
 というふうに聞こえて、ふっと目が覚めた。
 やまいも二本と昼寝していた。
 そういえばくせえ、まだどっかとっついたか。
 せんどのお宮には、変な舞いが伝わっておった。
 へっぴり踊りだとさ。

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とんとむかし

   まのび漬け

 とんとむかしがあったとさ。
 むかし、いまいの村に、きたろうという男があって、用でもないときに、ふやけたような鬼つら出す、
「縁起でもねえ。」
 と人は云ったが、たいてい能無しの、役立たず。
 ごすけの嫁がお産でもって、産婆どのおくれててんやわんや、のっこりきたろうが来る、
「塩貸してくれ、ちっと切らした。」
「それどこじゃねえ。」
 嫁うなるし、どうにもなんねえ、
「塩まいてくれっかもう。」
「おうまくほどでええ。」
「あっち行け。」
 産婆どのようやく来た、おおわらわしてもって、
「おんぎゃあ。」
 たら生まれた。
 きたろうは火燃やす。
 よせばいいのにさ、
「ぎゃあ火傷する、なんたらこの産湯は。」
 追ん出され。
 あるとき、建て前があって、餅と銭とまくで、みんなよったくっていた。大家さまのとこだで大盤振舞で、中にもお供え餅ぐらいの紅白、降って来るといった、
「すげえ、みとの次郎兵衛さまとこ以来だ。」
「あんときゃ一分銀へえっていた。」
 それってんで、いいかげんまいて、おくれてのっこり来た、きたろうの頭へ紅白がどっかん、きたろう目回した。
「えっへ、おらもん。」
 だれかそいつ拾って、うわあと云って、きたろうはほったらかし。
 間がわるくって、ふんのびたで、
「まのび餅。」
 だってさ。
 そんなんできたろうは、嫁なしの、年も四十を過ぎた、
「おらあ嫁っこ欲しい。」
 ふだんなんにも云わんのが云った。
「そりゃまあの。」
 と、母親。
 ねえってわけでもねえんだが、
「旅に出る。」
 きたろうは云った。
 嫁さがしの旅に出るそうの、
「四十男がの。」
 縁起でもねえとは云わず、なぜかみんな、はなむけ持って来て、
「がんばりや。」
 と云った。
 川中の町に、紺屋どんあるで、そこへ務めりゃ、嫁めっかるか。
 紺屋どんだって、四十男いらん、お店の前に、ぽけえとつっ立っていたら、
「仕上がったで、法被。」
 どっさり荷わたされ、
「いそやの衆によろしくな。」
 といった。
 磯屋は、知られた漬けもの屋で、二十里も先だが、
「はいよ。」
 といって、きたろうは荷かついで、歩き出した。
 いそやっていうのは、うんめえもんこさえたが、
「つけもんに嫁さんとかけて。」
 いそやと解く、その心は、
「わしが重石。」
 へんだなこんげじゃだめかといって、行く。
 野越え山越え、お地蔵さまあって、
「嫁さまよろしくな。」
 と願をかけたら、
「ほっきょかけたか。」
 ほととぎすが鳴いた。
 その心は、
「うーんわかんねえ。」
 と行くと、日が暮れた。
 ぽっかり月が出た。
 宿を借りねばなんえが、向こうに灯が点る。家があって、
「ごめんなしって。」
 一夜の宿を乞うと、
「おらあち、病人がいるでだめだ。」
 と云った、
 そうかと行くと、また灯が見え、旅のもんだというと、
「今うちは病人があって。」
 と、ことわる。もう一軒も病人、
「そうか、流行り病でもあっか。」
 ちょうど満月、真昼のような月明かりを、のっそのっそときたろう、一晩中歩くべえかったら、だれか背中に、
「おーい。」
 と呼んだ。
「なんだあ。」
「おまえさま、いそやのお店の人かあ。」
 と聞く。
「いや、そうでねえだが、紺屋どんから法被預かって持って行く。」
 きたろうが云ったら、
「そうか、申し訳ねえ、そんだらわしとこ宿してるで、泊まれ。」
 と云った。
 ついさっき、うちには病人がいてといった家だった。
「そりゃ、ありがてえ。」
 きたろうは、そこへ泊まって、飯まご馳走になって、もらい風呂して寝た。
 月明かりが部屋照らして、ふいとまどろんだら、だれかぬうっと覗く、
「うわ。」
「病人てこいつかあ。」
 といって、軒から入って来た。
「おらあいそやのもんだが、紺屋行けば、もう持って行かれたいうし、宿へ来たら、病人いるでいう、だってもおら泊まらにゃなんねえ。」
「ふーんそうかあ。」
 きたろうは起き上がって、嫁さがしからの、わけ話して、
「へえ、世の中おらよりも、間抜けなもんいるだか。」
 といった、
「うんまあそんげなもんだで。」
 男はうなずいて、二人一つ蒲団に寝た。
 あした朝家の人は、いそやの使いが、二人になってるのみて、たまげて、
「だどもまあ、ほととぎすだって、鳴くわな、二人朝飯だけは、食って行け。」
 いそやに払いはまかってもらうでと、嫁さがしも、飯ま食った。
 きたろうは、いそやの法被わたして、
「そんじゃおらは。」
 といって、おそうに出た。
 しばらく行くと、道っぱたの道祖神に、いそやの男が倒れこんでいた、
「どうした。」
 と聞くと、
「嫁捜していると云ったな。」
 と云う、
「そうだが。」
「後家さんでええか。」
「そりゃもうええで。」
 と、きたろう、
「おらは死ぬ、きんなも出てな、そんでもって用事遅れたが、心の臓に刺す、もうだめだな。」
 ふきのはっぱに水を汲んでだすと、
「ほうほ、気が利くな。」
 それ含んで、
「おらのかか貰え。」
 といって、息引き取った。
 きたろうは法被担いで、いそやへ行って、かくかくしかじか話して、ねえなった男の葬式になった。
 葬式おわって、後家さまに問うと、
「はあ、おまえさんさえよけりゃ。」
 と、云った。
 そんできたろうは、その男のあとへ座った。いそやも手が足りず、
「まあよう似たお人かなあ。」
 といって、お店にやとわれて、いっしょに暮らした。
「どっか間の悪い人。」
 と云われてっから、母親も呼んだ。
 きたろうは人にも知られ、なぜかいそやの跡を継いだという、
「まのび漬け。」
 という、いそやの名物は、なすにきゅうりの粕漬は、きたろうの発明だったそうの。

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へきがんろく

頌・古仏家風有り。(言猶ほ耳に在り。千古の榜様。釈迦老子を謗ずること莫くんば好し。)対揚貶剥に遭ふ。(鼻孔什麼としてか卻って山僧が手裏に在る。八棒十三に対す。汝作麼生。一著を放過す。便ち打たん。)子母相知らず。(既に相知らず、什麼と為てか卻って卒啄有る。天然。)是れ誰か同じく卒啄す。(百雑砕。老婆心切。且く錯りて認むること莫れ。)啄。覚。(什麼と道ふぞ。第二頭に落在す。)猶ほ殼に在り。(何ぞ出頭し来らざる。重ねて樸に遭ふ。(錯。便ち打つ。両重の公案。三重四重し了れり。)天下の衲僧徒に名ばく=しんにゅうに貌、はるか、遠いの意=す。(放過し了れり。挙起することを須ひず。還って名ばくし得る底有り麼。若し名ばくし得るも也是れ草裏の漢。千古万古黒漫漫。溝に填ち壑に塞がって人の会する無し。)

古仏家風有りと、耳たこですか、聞いたふうなことを実際は如何、榜とは札です、なんとかと記してぶら下がっている。釈迦老子生誕、七歩歩んで天上天下唯我独尊と、雲門云く、我れ当時若し見れば、一棒に打ち殺して、犬に食わせてやると、あっはっは釈迦老子を謗ること莫んばよし。卒啄同時底あるいは古仏の家風、たとい挙すあれば褒貶。得るんですか得ないんですか、せっかく見過ごすんですか、それともなんでもないんですか。鼻の孔穿つ、なんとしてかわが手裏にある、これ面白いんです、仏教という標準という、知っていればあるいは手段、知らざればなんとしてかと、卻っておのれの手裏を見る。八棒十三に対すとは、雪竇簡潔に示すこと、おまえはどうじゃと云う、見損ずればすなわち打つ。卒啄わずかに行なわれ。かするにはかするんですか。子母相知らず。まったく相知らずして、ものみな行なわれ、たとえて初心という、ものみなまっぱじめ。すでに知らず、なんとしてか卒啄同時。天然というほどに嘘八。これ誰か同じく卒啄す、いやさわかったよ、老婆親切、なにほどか錯って認め、あるあると聞こえるんでしょう、正師にも惑わされ邪師にも惑わされ、なほ殼に有り、からとっつけているなっていう、なんぞ殻破って出頭しないんだ。若し活せずんば、人に怪笑せられんと、卵の殻、うっふう重ねてぶん殴られ。なにをもたもた、三重の公案。天下の衲僧徒に名ばくす、形にこだわるっていうんですか、見過ごすなっていうんです、これなければ僧堂なしみたいなさ。卒啄同時、千古万古溝にはまって谷を塞ぎ、あっはっは一人の仏も出てこないよ。まったくご苦労さんなこと。

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2007年5月 9日 (水)

へきがんろく

第十六則 鏡清卒啄の機

本則・挙す、僧、鏡清に問ふ、学人卒す。請ふ師啄せよ。(風無きに浪を起こして什麼か作ん。汝許多の見解を用って什麼か作ん。)清云く、還って活を得るや也無や。(箚。帽を買ふに頭を相す。錯を将って錯に就く。総に恁麼なる可からず。)僧云く、若し活せずんば、人に怪笑せられん。(相帯累す。天をささえ地を柱ふ。担板漢。)清云く、也是れ草裏の漢。(果然。自領出去。放過せば即ち不可。)

鏡清道ふ(付に心)は雪峰の嗣、そつは口に卒、そったくは雛が卵から出るとき、ひなが中からつっつくのをそつ、親が外からつっつくのを啄。鏡清初め雪峰に見えて玄旨を得たり、のち常に卒啄の機を以て、学人に接す。示して云く、おおよそ行脚の人は、須らく卒啄同時の眼を具し、卒啄同時の用有って、方に衲僧と称すべし。母啄せんと欲するに而も子卒せざることを得ず。子卒せんと欲するに而も母啄せざることを得ざるが如しと。僧有り便ち出て問ふ。母啄し子卒す。和尚分上に於て、箇の什麼辺の事をか成し得たる。清云く、好箇の消息。僧云く、子卒し母啄す、学人分上に於て、箇の什麼辺の事をか成し得たる。清云く、箇の面目を露すと。学人卒す、請ふ師啄せよ。どうじゃというんです、好箇の消息、機は熟しているんですか、いえ突き破って若しやかくの如くあり、面目露れると、師啄せよ、一言あってしかるべき、さあ道えってなもんですか。(風無きに波を起こして何かせん。もとまったいらなんです、何がどうあるべきってことない、見解を用いないんです、この僧したたか者ですが、なんのかのいう2チャンネル人みたいの、何がどうのと云い募る、仏教辺をあげつらう、そりゃまるっきりわかってないです、物差し充てがうだけの人、卒するまでも行かないんです、一応目鼻ありの雛と云うべきにおいて、汝そこばくの見解もて何かせんと、たとい三十棒も啄すべき効果。)清云く、かえって活を得るやまた無や、ちったあ思い知ったか、魚は龍と化したか、(わっはっは帽子を買うのに頭整えてら、啄する前に生まれ出た元気を云う、あほか。錯をもって錯につく、どうだいとうそぶくのへ、どうだいと返す、なかなかだってさ、さもありなん。)僧云く、若し活せずんば、怪笑せられん、そりゃ物にならんけりゃ、お笑い草だよと云う、いいようでいてよくないんです、この辺りが今もまあまったく同じ、得た得ない、おれは悟った、だからという。まともな禅者の、そうねえ一将は得がたく、万卒はそこらじゅうにという、未だまだ人の物差し、他人の指図によるんです、インドのラジニーシ風歌舞伎役者みたい、悟りだ光明を以て回るのは、そりゃ論外です、仏には縁もゆかりもないんです。悟り終わって悟りなし、もとこれ仏。(相帯累す、どうしてもこれです、おまえも悟っているから、だからとやる、仏にはただの言いがかりです、そんなものあるわけがない、天をささえ地をささえる、うっふっふ板担漢。)清云く、また是れ草裏の漢、悟り終わってまた俗人俗物ですか、よくあるこってすよ。(なんだい、まともに答えてやれ、そんなん手前味噌。)

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2007年5月 1日 (火)

へきがんろく

頌・老新開、(千兵は得やすく一将は求め難し。多口の阿師。)端的別なり。(是れ何の端的ぞ。頂門上の一著、夢にも見るや也未だしや。)道ふことを解す銀椀裏に雪を盛ると。(鰕跳れども斗を出ず。両重の公案。多少の人喪身失命す。)九十六箇応に自知すべし。(身を兼ねて内に在り。闍黎還って知る麼。一坑に埋却せん。)知らずんば卻って天辺の月に問へ。(遠して遠し。自領出去。空を望んで啓告す。)提婆宗提婆宗。(什麼と道ふぞ。山僧這裏に在り。満口に霜を含む。)赤旛の下清風を起こす。(百雑砕。打って云く、已に著け了れり。汝且く去って頭を斬り臂を裁り来れ。汝が与めに一句を道はん。)

老新開、新開はすなわち院の名なりとある、いつだって新開なんです、自家薬篭中のものなどないんです、手練れという百戦錬磨という、仏に関する限り絶無、ただこうあるっきりです。(千兵は得やすく、兵は手練がいい、将は無心です、心というもの無し、よってものみな二00%です、口を開いて物云うに舌頭定まらず、どうやって説教したらいいかわからない、はたしてそんな大それたことできるか、まさか。)端的別なり、後先なくばったりです、当たらずということなし、自覚症状なしとは云わず、比較なしとは云わず、ただこれ端的。(これなんの端的ぞ、頂門上の一著と、さらに夢にだも思わず。)道うことを知る、銀椀に雪を盛ると、感嘆おく能わざるですか、あっはっは。(大海老が棲むという大海、跳りはねても北斗七星を超えない、まあさ、一に聞いたふうなことを抜かすなですか、二に銀椀に雪を盛りなんです、観音さまの掌、孫悟空どんなに走っても、世間安穏のうち、大力量これ。多少の人命を失う、みなごろしの歌ですよ。)九十六箇、僧あり問う、如何なるか是れ提唱婆宗、雲門云く、九十六種、汝は是れ最下の一種と。たとい九十六ありとも形心ともに自知すとは、もと一つことです。一つことはないと同じ、銀椀に雪を盛り、乃至混ずる時んば処を知るんです、わかりますか、だから、故にだれがどうとやっているひまはないんです。(身を兼ねて内にあり、いやさそんなんつまらんです、ただこうあって一坑に埋却の手続きを取らない、乱暴しない。)知らずんば卻って天辺の月に問え、だから別段他がためにという、捨身施虎も天辺の月に問えと、鼻息わずかに通えばいいです。(遠くて遠い、手前味噌ですか、なにさあ世間も宇宙も不要ってことあります、空を望んで啓すことしないんです、知らず知らず。)提婆宗、提婆尊者、手に赤旛を持つ、論に破れた者は旛下に立つ、外道みな首を斬って過を謝せんとす、提婆これをとどめて、化して剃髪して道に入らしむとあります、これによって提婆宗大いに興る、赤旛の下清風起こる。(百雑砕あっはっは、外道まさにこれ。さあすでに著け終わったぞ、しばらくは頭を失せ臂を斬り、さあやって来い、汝がために一句せん。)云い忘れた、満口に霜を置く衲はとあってさ。

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